効率的な勉強方法を考える part5 〜記憶術2〜

この内容は
効率的な勉強方法を考えるPart1
効率的な勉強方法を考えるPart2
効率的な勉強方法を考えるPart3
効率的な勉強方法を考える番外編
効率的な勉強方法を考えるPart4

の続きです。読んでいただける方はそちらからどうぞ。

15.暗記をする際に知識のつながりを大切にする

基礎時期の暗記をセクション14で述べたようにできるかが論文式の土台作りに直結すると私は思っていますので、そのあたりについてもう少し書いてみます。


1つ前のセクションで述べたことに加えて、知識はつながりをイメージしながら覚えることが大切で、「情報の対比と境界を理解する」ことと「つながりを持った(=後で使える)知識を身につける」ことはセットになっているといえます。たとえば「株式会社」の2大特徴は「間接有限責任」と「株式」の2つですね。そう覚えたときに同時に頭の中で


  株式会社以外の会社→合名会社、合資会社合同会社
  間接有限責任以外の責任→直接無限責任(その他もありますが)
  株式以外→持分


の対比をして、しかも


株式会社 間接有限責任=はじめに出した財産のみの責任→出資者の責任がゆるい
       →債権者保護の必要あり→資本やその他さまざまな規制あり
    

       株式→細分化された割合的単位・没個性で持ち主はどんどん変化
        →所有と経営が分離=他人のお金で経営→経営者が好き勝手やるおそれあり
        →意思決定機関・監視機関必要
 

合名会社 直接無限責任=個人で責任を背負う→出資者の責任が重い→債権者保護の必要性薄い→規制は少ない

 
       持分→所有と経営が一致=自分のお金で経営→出資者=経営者
        →経営者は好き勝手やるおそれ小さい→自由な機関設計OK


といったように知識のつながりを大切にしよう、ということです。例では、出資者の責任が「重い場合」と「軽い場合」があることが、あるいは経営者と出資者が一致している場合としていない場合があることが対比できていないと「株式会社」が何故法的にいろいろとしばられているかが理解できませんし、合名会社が好き勝手な組織設計でOKな理由もわからず、知識がどうしても単発になります。すなわち、


「A」を理解することと「notA」を理解することは表裏1セットで、それが「つながりのある知識を作る」ための前提となる


といえ、上級のアウトプットの段階だけでなく、覚える、理解する、考える、答案を書く、といった全てのステップで「情報の境界」を意識する必要があるのです。(この現象は法律学において特に、重要な現象です。それは法律の世界に「反対解釈」という論理学的には意味不明なことが成立しているのと根本は同じです。それはまた今度述べてみます)


昨日の管理会計論のところでも述べたとおり、こういった規制全体の目的である「出資者と経営者と債権者の利害調整」が意識できていることも大切ですけどね。


このように知識を「対比」して「論理的なつながりと共に」頭に入っていれば論文学習にスムーズに入れます。こういう単語帳あれば1個1万円でも私は買いたいですけど、誰か作ってくれないですかねえ。


16.入門期が特に「差」が大きい

特に、今「入門」の学習をされている方は、この部分を強く意識して暗記することをお勧めします。上級に入って、論文形式でアウトプットするようになると「比較問題」は多数出てくるようになり(比較問題が多いのは、理解できているかがわかりやすいためです)、自然とそういった学習をしなければならなくなっていくのですが、入門ではさほど意識しなくても無理やりできるため、差がつくのです。先生をしていて本当に思いますが


差がつくのは入門期


です。基本が大切とか、そんなきれいごと的な話ではなく


入門期が人によって、一生懸命さの密度がまったく違う


というのがその原因です。上級に入るとみな真剣です。方法論も考えます。ですからあまり差はつきません。(この差はつかない、は異なる人の間でではないですよ。何事でもそうだと思いますが、勉強も得意不得意があります。通るまでに専念して5年かかる人もいれば、大学でサークルで遊びながら1年半でクリアする人もいます。そうではなく、自分の中のがんばり方Aとがんばり方Bで差がつくのが入門期って意味です。すべては自分の精神との戦いだと思います)


時間を極端にこなす必要はありません。(というとすぐ誤解されるのですが、時間をかけられるならかけたほうが間違いなく有利ですよ)ただ、入門期に「方法論」を考えた人は、その考え抜かれた方法論のまま応用期に突入し、効率的な方法論のまま時間も増えていきますね。ですから方法論はせっぱつまってからではなく、早めに考えないと大きく損をするのです。ここが重要ですが


いつ考えるか?


の違いによって、


適用できる期間


が全く変わるのです。応用に入ってから方法論を作りこめば、その方法論は応用期にしか使えません。入門期に考えればずっと使えます。いつ考えるべきかは押して知るべきだと思います。




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効率的な勉強法を考えるpart6 〜エピングハウスに挑戦〜に続く