効率的な勉強方法を考える part6 〜エピングハウスに挑戦〜

この内容は
効率的な勉強方法を考えるPart1 効率的な勉強方法を考えるPart2
効率的な勉強方法を考えるPart3 効率的な勉強方法を考える番外編
効率的な勉強方法を考えるPart4 効率的な勉強方法を考えるPart5
の続きです。読んでいただける方はそちらからどうぞ。


こんなに続くとは当初は思っていなかったのですが、まだまだ書きたいことが残っています。ブログの初心者がはまるワナでしょうか。書いて(他人の目に触れる形で)まとめることが、思索をまとめるきっかけになって、なかなか楽しいですね。仕事やら勉強やらやることがたくさんありますので、うまく折り合いをつけてやらないとまずいのですけれども。
今は、エピングハウスの忘却曲線に対する理論考察から効率的な勉強方法を導くという大それた行いがしたくなっているので、しばらくそのあたりを書いてみます。実は、論文式試験


・あの数字は得点なの?偏差値なの?問題
・合格の得点率52パーセントの謎(低すぎない?と感じている方多くないですか?)
・恐怖の足切Fのリスクがどのくらいあるか?


についても統計学的な見地から、論じてみたいのですけれども・・・。ほどほどにしないとマズイですね。

以下本文です。


17.エピングハウスの忘却曲線と主流の復習法

まず、エピングハウスの実験の要点をまとめます。「エピングハウスの忘却曲線」は心理学者ヘルマン・エピングハウスによる実験で、無意味なスペルの忘却実験です。要するに、理解して覚えるのが不可能な「単純暗記力」の実験で、データによると


20分後には42%
1時間後には56%
1日後には74%
1週間後には77%
1ヶ月後79%


を忘却するそうです。


この忘却曲線をもとに復習のタイミングについての学習方法がいろいろあげられています。様々な主張がありますが、1回目をその日、2回目を1週間後、3回目を2週間後、4回目を1ヶ月後、5回目を3ヶ月後、6回目以降は半年毎のように「期間を少しずつ延ばしていく」形の復習法が主流ですが、私はこの考え方は理論的ではないと思います。
このように主張すると、「私はその方法を実践したら定着率がハッキリと上がった」と反論を受けますが、その反論は論理的ではないと思います。


なぜなら、「回数が多い」と記憶が定着しやすいのはあたりまえで、「この方法論のタイミングがよい」ことによって記憶が定着したとはいえないからです。「タイミングのよさ」の議論をするには、


同じ回数で、タイミングのみ変えて実験


を行わなければ比較の意味がありません。丁寧に回数を行えば定着率が上がるのは当然です。でも、違うタイミングであれば、もっと定着したかもしれないのです。当然、定着率が下がる可能性もあるのですが。


18.エピングハウスの忘却曲線に対する仮説

エピングハウスの忘却曲線を見て、違和感のあることが1つあります。それは、忘却曲線の形です。理系で、微分方程式を学習されている方はおわかりだと思いますが、もし忘却がランダムに起こっているのであれば、その忘却曲線は指数関数形になるはずです。ところが、どう見ても忘却曲線の初期の減衰率は1週間、1ヶ月後の減衰率よりもはるかに高いのです。睡眠中は忘却率が低い、とか誤差のある事象を除いても、ちょっと説明できない曲線です。


しかし、忘却曲線が「短期記憶の忘却曲線と長期記憶の忘却曲線の重ね合わせ」で構成されている、と解釈すればしっくりきます。つまり、多少の誤差はあるでしょうが、1ヶ月後に覚えている21パーセントは、1ヶ月の間に長期記憶になったのではなく「もともと長期記憶になっていた」という解釈です。すなわち、はじめの時点においておおよそ「80パーセントの短期記憶と20パーセントの長期記憶」が存在し、一ヶ月後には長期記憶のみがほぼ残っている、と解釈するほうが自然だと思うのです。


そうでなければ、忘却曲線の「回数を重ねるほどに、忘却しにくくなる」という変化が説明できません。忘却曲線が「短期記憶忘却曲線と長期記憶忘却曲線の重ね合わせである」と考えれば、復習により「長期記憶に変換された割合が増え、その結果として重ね合わせられる忘却曲線が変化する」のは当然です。以上の前提をもとに、短期記憶の忘却率を計算しなおすと、


20分後には52%
1時間後には70%
1日後には92%
1週間後には96%
1ヶ月後99%


忘れることになります。無論、これは「ランダムなスペルの無意味記憶」であり、実際にはこれほど忘却しませんが、重要なことは


残っている記憶が忘却されるものと長期記憶になるものに分かれる


のではなく


長期記憶と短期記憶が混在し、短期記憶を順に忘却している


のであり、初めの時点で「時間がたてば忘却するものと忘却しないものは分かれている」のではないか、という仮説です。その、仮説にたつと以前に方法論で説明したように、復習のタイミングはおのずから見えてくるのですが、それは明日以降にします。ほどほどにしないとまずいですね。




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効率的な勉強法を考えるpart7 〜エピングハウスに挑戦2〜に続く