連結「修正」仕訳を理解する part2

この内容は、連結「修正」仕訳を理解するpart1の続きです。 読んでいただける方はそちらからどうぞ。

今日は、連結修正仕訳の意味が苦手、という方にとっては会心の記事がかけたと思います。「連結仕訳」と「連結修正仕訳」という言葉を使い分けていますので、違いに注意して読んでくださいね。


以下本文です。

3.「資本連結仕訳」の本質は「関係会社株式」を「中身の純資産に振り返る」こと

今日は、まず「連結」の本質的な意味から考えたいと思います。話がややこしくなるので、少数株主持分はなしで考えます。


連結会計が導入されたのは「連結しない状態だとまずい」からですよね。資本連結という観点から問題を考えると、「関係会社株式」は取得原価評価なのに、子会社の純資産は日々の経済活動で変化するため、「関係会社株式勘定」とその実質的な中身にずれが生じることことですね。そこで、「関係会社株式」を実質的な純資産に置き換える仕分けが連結仕訳です(だと思います)。(連結修正仕訳ではないですよ)


すなわち、貸方に関係会社株式を立てて、借り方に簿価での純資産(資産−負債)と、資産の評価上げ(簿記の問題ではほとんど土地勘定)、連結調整勘定を立てて、「関係会社株式」という勘定を実質的な中身の純資産に振りかえる、という仕訳が「連結仕訳」です。(実際には負債は貸方に立てることになりますが)


4.「関係会社株式」の実質的価値の分析

さて、関係会社株式の実質的な中身は大きく分けて;">①子会社の簿価純資産+②子会社の資産の含み益(評価差額)+③連結調整勘定(のれん)の3つですね。少々蛇足ですが、一般的にのれんは「企業の超過収益力」と書いてありますが、実際には


のれん=単独企業としての超過収益力+シナジーによる超過収益力


というイメージがよいと思います。例を挙げると、グーグルが最近YOUTUBEを買収しましたね。グーグルの創業者はいつも独創的なことをされるので考えを読むのは難しいのですが、


YOUTUBEの圧倒的な集客力(ページビュー能力)+グーグルの広告技術=新たな収益モデルの創出


は簡単でしょうね。この買収は、もっと戦略的な意味合いが大きそうですが。まあ、主張としては、グーグルから見たYOUTUBEの超過収益力と、他の企業からみたYOUTUBEの超過収益力がまったく異なるということです。簿記の問題を解く上では必要ないですけどね。


これも蛇足ですが、簿記の問題だと連結調整勘定はかなり小さいですが、実際にはかなり大きいハズです。株式投資をなさっているかただとお分かりだと思いますが、株価純資産倍率が1倍付近の会社はほとんどないですね。業種によって異なりますが、一般に数倍〜に上ります。つまり、上場企業をTOB等で買収すれば純資産額より連結調整勘定の方が大きい方が普通です。

5.連結修正仕訳の正体と理解の方法

さて、実際の連結作業は①個別修正②合算③連結修正仕訳の3つの作業を行うわけですから


連結仕訳=個別の修正仕訳+合算仕訳+連結修正仕訳


という関係が成立しますね。(つまり、①〜③の仕訳を全部あわせてから、親会社に対して仕訳としてきれば連結作業終了ですから、その意味で①〜③の仕訳をあわせたものを連結仕訳と呼ぶべきだと思います)この式を


連結修正仕訳=連結仕訳−個別の修正仕訳−合算仕訳  ・・・☆


と変形します。このとき連結仕訳は、理論的には


借方 資産、含み益(主に土地)、連結調整勘定
貸方 関係会社株式、負債


という振り替えの作業になるはずです。また、個別の修正仕訳は


借方 含み益(主に土地)
貸方 評価差額


であり、合算仕訳は


借方 資産
貸方 負債、資本(資本金および剰余金)


ですから、連結修正仕訳は☆の計算式から


借方 資本、連結調整勘定、評価差額
貸方 関係会社株式


という形になるわけですね。したがって、この連結修正仕訳の意味解釈は

借方
子会社の資本(連結という観点からは、本来計上すべきものではないのに、合算で計上してしまったから消す
連結調整勘定(個別修正、合算の作業では計上されていないので新たに振り替え
評価差額勘定(連結という観点からは、本来計上すべきものではないのに、個別修正で計上したものが合算で計上されているから消す

貸方
関係会社株式
本来、簿価純資産に振り替えるときに消すべきだったのに、合算という作業だから消えなかった、だから消す部分
       +
連結調整勘定に対応する部分を連結調整勘定に振り変えたのでそれに応じて消す部分
       +
個別修正仕訳で含み益に振り返るときに消すべきだったのに、個別修正+合算の作業では消えなかった、だから消す部分)   

というのが意味としての解釈だと思います。この仕訳を理解するには


計上されていないものを計上する作業
計上すべきでなかったものの計上をとりけす作業


の2つが混じっているのを理解することと、「関係会社株式」の純資産価値を


子会社の簿価純資産
子会社資産の含み益
のれん(超過収益力)


に対応する部分にそれぞれ分離して考えることが、ポイントだと思います。  




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